第三次世界大戦を心配するブログ

国際情勢や歴史、その他について書いていきます。

第七十一回 報道しない奴隷とその脱却法(1)

0.予定の変更 前回までイランの近現代史について見てきた。イランという中東の一地域に過ぎない限定的な場所であっても、その歴史をつぶさに見てみると、そこにはGlobal経済の席巻が見て取れる。Global企業が国家と組み、合法的強盗がまかり通っているのが…

第七十回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(20)

1.奴隷制度のグローバル化 アメリカは資本主義の国である。しかし、この「資本主義」という言葉を「自由な経済競争」と見ると、本質が見えなくなってしまう。「資本主義」という言葉が世に出る前から、「自由な経済競争」は存在したからだ。江戸時代の商人…

第六十九回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(19)

1.独立闘争から分裂闘争へ 1979年11月4日、アメリカ大使館人質事件が起きた。この事件によってイランは国際的な非難を浴びたが、国内的には愛国心の高揚につながった。11月6日、バザルガン内閣は総辞職し、ホメイニーを頂点とする宗教指導者たちによる政治…

第六十八回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(18)

1.大使館という宝物庫 前回のブログではアメリカ人がイラン人を嫌う理由、および「アルゴ」についての二つの見方について考察した。そこでは「大使館」についての見方がキーポイントになると述べた。「大使館」という言葉はgoo国語辞書によると以下のよう…

第六十七回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(17)

1.アメリカがイランを嫌う理由 アメリカとイランは対立関係にある。この対立は最近はじまったものではなく、様々な要因が絡んでいる。ただ対立の歴史は平板なものではなく起伏があり、そこには象徴的な事件が存在する。対立を最も象徴する事件が、1979年11…

第六十六回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(16)

1.激化した民主化運動は予想と違った結果を招く イラン革命の大火は、1978年1月7日の新聞記事から始まったと見ていいだろう。この時の火はまだ小さなものに過ぎなかった。しかし、エッテラーアート(Ettela'at)の記事が発端となったコム(Qom 現在はゴムG…

第六十五回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(15)

0.前々回の続き 今回からイランの現代史に戻りたい。第六十三回ブログの続きである。 1.立憲民主制の終焉 1979年1月16日、イラン王であるモハンマド・パフラヴィーは、イランから出国した。王はその後イランの地を踏むことなく、翌年カイロで死去した。…

第六十四回 文春砲は牧場の柵内でのみ炸裂する

0.予定の変更 イランの現代史の続きについて書く予定であったが、今回は予定を変更し、検察官と新聞記者による麻雀大会について報じた「文春砲」について考察していきたい。 1.「ズブズブ」ではなく「同僚」 文春砲によって、黒川検事長と新聞記者による…

第六十三回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(14)

1.人権弾圧は石油によって容認される 1978年、コムのデモが発端となり、イランでは各都市で反政府運動が行われるようになった。首都テヘランでは、10万人規模のデモが行われるようになっていた。地方では各民族による自治権の拡大が叫ばれ、労働者はストラ…

第六十二回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(13)

1.燃え広がる火事を見ても危機感を抱けない 第六十回ブログで述べた通り1978年のイランにおいては、コムのデモが発端となり、各都市で反政府デモが巻き起こった。この状況下で1978年8月18日、アーバーダーンの映画館、シネマ・レックスで火災事件が起き、…

第六十一回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(12)

1.日本とイランの違い 「日本はアメリカの植民地だ」と言うセリフはよく聞く。日常会話でも時おり耳にするし、属国日本論についての書籍は大きな図書館に行けば必ず見つかる。街角にはある政党のポスターが貼られており、「アメリカの言いなりやめよう」と…

第六十回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(11)

0.シリーズの続き 今回からイランの近現代史を振り返るシリーズに戻りたい。第五十七回ブログの続きである。 1.コムの小さな火がアーバーダーンで燃え上がる 1978年1月7日、イランでエッテラーアート(Ettela'at)という保守系新聞に、ホメイニーを中傷…

第五十九回 新型コロナウイルスについて報道しない自由(2)

1.憲法22条とその例外としての感染症法 「人は誰でも知られたくないことがある」という言葉は、巷間でよく聞かれる。社会常識になっていると言ってもいい。それゆえ法的にも個人情報保護法が定められ、隠したいことは隠せるようになっている。ただ、問題は…

第五十八回 新型コロナウイルスについて報道しない自由(1)

0.予定変更 前回までイランの近現代史を見ることで、イランとアメリカの対立の原因について考えてきた。今回もその続編を書く予定であったが、予定を変更し、今回と次回の二回にわたり、コロナウイルスについての法改正およびその報道について述べていきた…

第五十七回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(10)

1.国境という怨嗟 アフリカや中東では、長年に渡った西洋による植民地支配の爪痕が今も残る。それが国境である。エジプトの国境線はエジプト人が決めたものではなく、イラクのそれもイラク人が決めたものではない。つまりイギリス人が決めた国境線の中に、…

第五十六回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(9)

1.第三の男 イランの近現代史は、二人のモハンマドを軸として展開した。一人はモハンマド・レザー・パフラヴィーであり、もう一人はモハンマド・モサデクであった。二人の「モハンマド」は対照的であり、一方は王様、もう一方は民主主義者であった。そして…

第五十五回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(8)

1.無名の海賊から世界的に有名な海賊へ 日章丸は1953年4月8日、夜陰に隠れてホルムズ海峡を通過し、4月10日、ついにアーバーダーンの港に到着した。イギリス海軍に見つからないよう細心の注意をはらい航行した日章丸であったが、アーバーダーン港に到着し…

第五十四回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(7)

1.モサデクと出光の出会い アメリカとイランの関係は現在最悪と言えるが、日本とイランの関係は悪くない。それには1953年の日章丸事件が関わっている。日本人は忘れても、イラン人はこの事件を忘れないのである。 在日本イラン大使館、「イランの人々は、…

第五十三回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(6)

1.幻想のアメリカと数式のアメリカ 前回述べた通り、イランの独立を志したモサデクは、民衆の英雄から一転、犯罪者となった。国民に期待され、選挙によって首相となったモサデクは、逮捕され、投獄されることとなる。 Mohammad Mosaddegh in court, 8 Nove…

第五十二回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(5)

1.曖昧な経済と明確な金儲け モサデクはおそらく信じていたのであろう。イランが植民地支配から脱却すれば、自力で生まれ変わることができると。彼の目からすれば、欧米人が頻繁に用いる「援助」という言葉は、彼らが金を儲けるための「投資」であり、結局…

第五十一回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(4)

1.植民地に求められるリーダー像 欧米人は民主主義が大好きである。それゆえ、アジアやアフリカの独裁国家が大嫌いである。彼らからすれば、民主的なプロセスを経ずに暴力で政権を握り、死ぬまで権力を手放さない独裁者は、身の毛もよだつほどに醜く見える…

第五十回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(3)

1.近代化はYES、独立はNO 欧米人は、植民地が近代化し、欧米のような国になることについて大歓迎である。独裁国家が民主化することは大歓迎であり、選挙のない国で普通選挙が行われることは大歓迎であり、自由な経済競争が行われることは大歓迎であり、義…

第四十九回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(2)

0.イランとアメリカの関係性 前回のブログでは、予定を変更して新型コロナウイルスについて考察した。今回は、第四十七回ブログからはじめているシリーズに戻りたいと思う。イランとアメリカがなぜ対立するのか、その歴史的関係性について述べていきたい。…

第四十八回 新型コロナウイルス その蔓延を喜ぶのは誰か

0.予定変更 今回は予定を変更し、新型コロナウイルスについて考察していきたいと思う。 1.動物という物言わぬ魔女 新型コロナウイルスの感染源は、中国の食物市場にあるアナグマや竹ネズミではないかと言われている。日本の大手メディアは、概ねそうした…

第四十七回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(1)

0.予定の変更 イランとアメリカの関係、特にアメリカによる経済制裁の具体的意味について、前回と前々回の二回にわたって述べてきた。今日は第四十三回ブログの続きに戻る予定であったが、予定を変更し、何回かにわたり、イランという国の簡単な歴史と現在…

第四十六回 イランに対する経済制裁、その意味(2)

1.制裁と援助 アメリカはイランに対して強力な経済制裁を行っている。制裁の内容は多岐にわたるが、その主なものは、イランと取引する企業に対して、アメリカとの取引を停止するというものである。例えば、イランと原油の取引をした企業は、アメリカに持っ…

第四十五回 イランに対する経済制裁、その意味(1)

0.予定の変更 今回は前々回まで続いていた「奴隷のしつけ方」シリーズに戻ろう思っていたが、一連の中東情勢において、アメリカがイランに追加の経済制裁を課すことを発表したので、その意味について考察してみたいと思う。今回と次回の二回に渡って述べて…

第四十四回 ソレイマニ殺害、その意味

0.年明け早々の大ニュース 前回までは、人間がどのような心理的なプロセスを経て奴隷になっていくか、その問題について考えてきた。今回もその続きについて考察していく予定であったが、2020年の年頭に世界を驚かせる大ニュースが飛び込んできたので、予定…

第四十三回 奴隷のしつけ方(6)

1.ミルグラム博士の実験 前回は、1942年の大日本帝国政府による戦争大綱を例にとり、「二兎を追う者は一兎をも得ず」、すなわち「インテグリティ(integrity)」の欠如について考えた。「インテグリティ(integrity)」に欠けた人間の判断について具体的に…

第四十二回 奴隷のしつけ方(5)

1.内なる「統合性」 「インテグリティ(integrity)」という言葉は、前回引用した矢部宏治さんの本に書かれているように、「人格上の統合性」や「清廉潔白な人格」といった意味である。しかし、これだけでは抽象的な説明になってしまうために、より具体的…