戦争と平和、そして無記

国際政治や歴史、およびその根底にある人類の心のメカニズムについて考察していきます。

第二十二回 この国の税金の使い道

1.税金が高く、福祉が薄い国

 日本人は生涯において、どれくらいの税金を払うのだろうか。自分が生涯に払う税金の合計について、知っている人はあまりいないだろう。

 

生涯「税金」はいくら払うか

https://president.jp/articles/-/433

 

 例えば生涯納税額の合計が5000~6000万円くらいだとしよう。それは世界的に見ると高いのだろうか、安いのだろうか。北欧の福祉国家と比べると、日本は税金が安いというのが社会常識になっている。日本は北欧の国家に比べると、福祉・セーフティネットが明らかに薄いが、その分、税金は安いということになっており、誰もこれを疑わない。果たして、これは本当だろうか。

 

税金が高い国ランキング!税率が高い国の国民は幸せなのか?

https://venture-finance.jp/archives/16520

 

 私は、上記サイトで言われていることが、統計調査的に信頼性のあるものかどうか、わからない。もしこのサイトの言っていることが本当だとしたら、日本という国は、イギリスやフィンランドよりも税金が高いということになる。そして、明らかにイギリスやフィンランドよりも国民への福祉的恩恵が薄い。つまり、高い税金を払っているわりには、リターンが少ないということである。

 これが真実であるか否か、私にはわからない。しかし、ある種の納得感はある。なぜなら、日本はヨーロッパ諸国よりも、国際金融資本家に食い物にされている国だからである。日本という国が、高い税金と薄い福祉で成り立っているという説明は、妙な納得感がある。その間の差額は、誰かが吸い取っているということだ。

 日本人のほとんどは、生涯で税金をいくら徴収されるのかを知らない。また、関心もない。そういう国民的傾向性は、支配者層からすれば大変にありがたいことである。ここで言っている「支配者」とは、日本人ではない。内閣でもなければ、国会でもなければ、裁判所でもない。白人の国際金融資本家たちである。その手下である日本人の政治家や官僚たちが、彼らの言いなりになって、日本という国家を運営している。その構造は、大まかに示せば、以下のようになる。

 

A.支配者(外国人)

B.Aの手足になる日本人の政治家、官僚、大企業経営者(年収はDの2倍~100倍)

C.この支配構造を国民に知らせないように頑張る大手メディア(年収はDの2倍~4倍)

D.この構造を知らない(知る気がない)一般国民(生涯納税額5000万~6000万)

 

 江戸時代には士農工商という身分制度があった。農民は名目上二番目の階級だが、実質上は「生かさず殺さず」の身分である。農民がくたばってしまえば、農民から米(年貢)が取れなくなって困る。それゆえ「殺さず」である。しかし、できるだけ搾り取りたいので、「生かさず」となる。

 この点、現代の場合は勉強を頑張って東大に進学すればBまで行けるかもしれないので、江戸時代よりかは夢のある世界かもしれない。ジャパニーズ・ドリームである。しかし、Japaneseである以上、Aには行けないので、出世には限界はある。最高裁長官もアメリカ大使より下であるし、総理大臣もアメリカのカジノ経営者より下である。

 これは私のみが言っていることではなく、気づいている人にとっては常識的なことである。例えば、自衛隊の元陸将補である池田整治氏は、著書の中で上記A~Dの構造とほぼ同じことについて述べている。詳しくは、「マインドコントロール」(池田整治 ビジネス社)58-59頁を参照していただきたい。

 

2.日本の税金を使って、日本を巨大なイージス艦にする

 日本国民がたくさん税金を国に納めても、北欧の福祉国家と違い、国民へのリターンは薄い。それは、税金の使い道がいろいろとあるからである。例えば、カジノもつくらなければならないし、駐留している米兵に美味しいものを食べさせなければならないし、アメリカの国債も買わなければならない。アメリカの武器会社から軍事物資をたくさん買わなければならないし、そして、今後は秋田と山口にイージス・アショアをつくらなければならない。A層の人達が次から次に要求してくるので、B層の人達も大変である。

 B層と言えば、先月、日本においてB層のメンバーを選ぶための参議院選挙(2019年7月21日投票)が行われた。そこでは、経済政策や年金問題憲法改正等が争点となったが、「政治家としてどのようにCSISと向き合うか」という問題は一切争点とはならなかった。常識的に考えれば、これは奇妙なことである。なぜなら、日本という国家に対して、CSISは巨大な影響力を持つ組織であり、これの意向により日本国民の巨額の税金の流れ先が決まり得るからだ。

 しかし、CSISについてまったく争点にならないということも、ある意味仕方のないことである。日本人のほとんどはCSISについて知らないし、CSIS自身としても、日本において自らを有名にしたいとは思っていない。彼らは自らを隠れた組織にしておきたい。そのためCSISは、一部の日本人を除けば、日本国民にとって見えざる組織である。こうした不可視化に、日本の大手メディアも協力している。

 日本においては何事も「いつの間にかできちゃった」ということでいいのである。日本人からすれば、カジノもイージス・アショアも、「いつの間にかできちゃった」ものである。裏庭の木にキノコが生えたようなものであり、感覚としては自然現象に近い。

 しかし、「いつの間にか」ということは実際には存在しない。裏庭にキノコが生えるように、ミサイル基地が日本の国土に自然に生えるはずがない。ということは、誰かが日本の政治家や官僚に「つくれ!」と命令しているわけであり、その制度設計の内容を考える組織がCSIS(Center for Strategic and International Studies)なのである。これは日本の組織ではなく、アメリカのシンクタンクである。つまり、A層である。

 

安倍政権が3億円の寄付をした米シンクタンクの正体!

https://lite-ra.com/2019/03/post-4610.html

 

イージス・アショアに大金を払い、日本は米国の「不沈空母」にされる

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65539

 

 北朝鮮や中国が日本にミサイルを撃ってくる。日本国民は大手マスコミを通じてそのように教育されている。もしその教育内容が本当なら、日本で最も人口が多い都市は東京と大阪であるから、ミサイルの軌道から考えて、新潟と福井にイージス・アショアを建てるのが道理であろう。しかし、アメリカからすれば、米太平洋艦隊の拠点はハワイとグアムである。それゆえミサイル軌道を考えれば、秋田と山口にイージス・アショアを置くのがよい。

 その結果、新潟と福井ではなく、秋田と山口にイージス・アショアが建てられることとなる。もちろん、費用は全額日本の税金である。6000億円以上かかると言われている。なお、秋田県平成28年度一般会計の歳入は6005億円。つまり、秋田県の人達が一年間働いて納めた税額と同じくらいである。

 

<税を追う>地上イージス 総額6000億円超も 防衛省公表は2基4500億円

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018110902000152.html

 

 ちなみに、ロッキード・マーチンの戦闘機F35一機のお値段は、大体100億円と言われている。保育園を一つ建てるのに1億円だと考えると、戦闘機一機で保育園が100個建つわけである。しかし、日本は福祉国家ではない。植民地である。B層からすれば、福祉よりA層の命令の方が何百倍も大事である。

 なお、フィンランドの法律では、保育園の月々の費用が上限290ユーロ(約36000円)と決まっており、所得が低い場合はこれより安くなる仕組みとなっている。また、小学校から大学まで学費は無料。18歳未満の医療費も無料。また、妊娠補助金、母親手当、父親手当、児童手当、保育手当などの手厚い福祉サービスがある。

 日本人はこれについて、日本はフィンランドよりも税金が安いのだから仕方がないと思って、納得している。しかし、日本には保育園に入りたくても入れない待機児童が2万人いる。その福祉のレベルの低さは、フィンランドと同じ土俵では比べることができないものである。これを、「その分、税金が安いのだから仕方がない」と納得してくれる日本人は、A層にとっては大変都合のいい国民である。彼らからすれば、世界の被支配民族がみんな日本人みたいになってくれれば嬉しいことだろう。