第三次世界大戦を心配するブログ

国際情勢や歴史、その他について書いていきます。

第二十八回 CSIS、その歴史と日本との関係(6)

1.大学という軍事力

 軍隊と大学と市民生活が一心同体であると言われても、おそらく一般市民からするとピンと来ない話であろう。それらは別々のものに見えるからだ。しかし実際には、我々の生活は軍事力と深い関係をもっている。特に、何百年も戦争と植民地支配を基幹事業として行ってきた国からすれば、平時と戦時の明確な線引きは存在しない。

 400年以上にわたって植民地経営を行ってきたイギリス、およびそのイギリスから独立し、世界の覇権を握るアメリカには、植民地支配に関するIntelligenceとStudiesの膨大な蓄積がある。それゆえ、帝国主義時代を過去のものとする現在においても、世界の大学ランキングの上位を占めるのは欧米の大学である。

 

THE世界大学ランキング2020 日本から110校がランクイン トップ200は中韓下回る2校のみ

http://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/5638

 

 アジア最古の大学は、1611年に設立されたフィリピンの聖トマス大学(University of Santo Tomas)である。東京大学が建設されたのは、1878年である。アジアの大学の歴史も、それなりの年月を持っている。しかし、世界の学術研究の中心は、昔も今も圧倒的に欧米である。東京大学のランキングは上記ページによると、36位である。

 なぜ世界の学術研究の中心が欧米なのか。それは、欧米人が他の人種と比べて先天的に優秀な頭脳を持っているからではなく、彼らの近代史が戦争と植民地支配の歴史だからである。ほとんどの学問分野は、戦争と植民地経営に深く関わっている。つまり、軍事的支配と学術研究は、一心同体で進歩してきたのだ。

 例えば、工業系の学問は最新兵器開発と直結している。原爆を開発したのは数学者と物理学者と工学者である。暗号解読の根幹は数学であり、現在のコンピューターは、第二次大戦時の暗号解読マシーンがもとになっている。言語学民族学は、欧米諸国がアジアやアフリカを植民地支配するとともに発展した。

 鉄道は軍事物資の運搬用として発展し、気象予報も元々は軍事情報である。無線などの通信機器も、もとは軍事用であるし、生物兵器化学兵器の開発が、生物学、医学、化学の発展を促した。美容整形医療の原型は、戦場で顔を負傷した兵士のための整形技術である。女性用のストッキングは、軍事化学会社のデュポンが、軍事技術を平時の商売に適用して開発されたものだ。

 つまり、戦争と植民地支配が当たり前となっている国からすれば、平時であっても軍事開発が当たり前であるから、軍事と学問、産業と市民生活は一心同体の四角形である。戦地で用いる仮設住宅の技術が一般住宅の建設にも転用され、軍事技術から転用された鉄道、車、コンピューターを使って市民は生活し、軍事から転用された医療技術や薬品のお世話になる。義務教育制度も、元々は富国強兵のため、つまり軍事制度である。

 結局のところ、どこからどこまでが軍事用で、どこからどこまでが一般生活用なのか、その線引きは簡単にはできない。大学で研究開発されたものが軍事用に使われ、軍事用に使われたものが応用され、一般生活用の商品やサービスとなる。問題は、このことを宗主国はよく知っているが、植民地の国民が知らないことである。

 特に日本国民は、大学や市民生活は、軍事力から切り離された平和な空間なのだと牧歌的に思い込んでいる。そういう呑気な思い込みは、支配者側からすれば、大変に都合がいい。支配者は奴隷に真実を知ってもらいたくない。死ぬまで夢を見てもらいたいのである。

 

2.大学と洗脳教育

 アメリカの軍事拠点と言われると、日本人は基地を思い浮かべるかもしれない。しかし、基地は軍事力の一部にしか過ぎない。確かに、軍事力には戦闘機やミサイルも含まれる。しかし、軍事力の根幹は知力であり、物質的な武器は枝葉に過ぎない。つまり、軍事力の基盤となるものは学術センターであり、大学である。

 では、アメリカの軍事的学術拠点はどこか。その主なものを三つあげろ。そう問われても、ほとんどの日本人はわからないだろう。日本がアメリカの植民地であることは、かなり多くの日本人が知っている。しかし、多くの日本人はアメリカのことを知らないし、知ろうともしない。これは支配者側からすれば都合のいいことであるし、戦後、GHQがそういう日本国民を教育やメディアによって栽培してきた成果だとも言えるだろう。

 アメリカの軍事的な大学の三本柱は、ジョージタウン大学、ジョンズ・ホプキンス大学コロンビア大学の三つである。このことを知らないと、アメリカを知ったことにはならない。アメリカを知らないということは、日本人が自分たちの支配者を知らないということである。つまり、自分が誰に管理されているのかよくわからないで生活しているということである。

 ビル・クリントン河野太郎が、ハーバード大学ではなく、あえてジョージタウン大学に入学しているのは、そういった軍事的な知識を得るためであり、そういった人脈とつながるためである。CSISマイケル・グリーンの出身校は、ジョンズ・ホプキンス大学である。小泉進次郎が留学した大学は、コロンビア大学である。

 大学は、軍事的なIntelligence のセンターであるが、植民地支配に関しては、もう一つ重要な役割がある。それは、植民地のヤジロウ候補をそこに入れて、洗脳する役割である。しかし、勘違いしてはいけない。支配者はヤジロウを無理やり洗脳するのではない。現実においては、奴隷の方が、自らすすんでそうした洗脳センターに入っていくのである。それがアンクル・トム(Uncle Tom)の出世街道だからである。

 1549年、最初のイエズス会士が日本の地を踏んだ時には、ヤジロウは一人しかいなかった。彼は当時の日本人からすれば、怪しい南蛮人の通訳にしか過ぎなかった。しかし、その後ヤジロウは進化し、ヤジロウでなければ日本で出世できないという時代が訪れた。戦後の総理大臣で安定政権を築ける者は、必ずエージェントである。つまり、首相がエージェントではないのなら、その政権は短命であらざるをえない。

 こうした「岸方式」は、戦後の植民地支配のシステムとして、今に至るまで続いている。これに気づいて、自分からすすんでアメリカの洗脳センターに入った政治家が、大勲位中曽根康弘(1918-)である。彼は、岸信介も参加していた道徳再武装運動に参加し、そこでアメリカ人有力者とつながった。

 

道徳再武装

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%93%E5%BE%B3%E5%86%8D%E6%AD%A6%E8%A3%85#cite_ref-15

 

 ここで中曽根は、ジョンズ・ホプキンス大学教授のナサニエル・セイヤーと知り合った。セイヤーはCIA東アジア部の幹部でもあったので、中曽根は彼を通してCIAとつながりを持つことができた。そうして彼はCIAのエージェントとして、日本の政界で出世街道を駆け上がることになる。

 中曽根が後に原子力政策に邁進したきっかけは、ハーバード大学教授のキッシンジャーと知り合ったことであった。セイヤーの紹介で、中曽根は1954年、初めてハーバード大の夏期講座に参加した。それがキッシンジャーのゼミナールだったのである。中曽根はそこで原子力の重要性についてたたき込まれ、キッシンジャーは中曽根を原発建設に誘導した。

 キッシンジャーユダヤ系ドイツ人であるが、ナチス時代にアメリカに亡命し、アメリカで成功した政治学者、政治家である。しかし、もともとは軍人であり、第二次大戦中はOSS(Office of Strategic Services CIAの前身)でアレン・ダレス(1893-1969)のもとで働いた有能なスパイでもある。戦後はハーバード大学および同大学院に進学し、学者をやりながらロックフェラー家のために活動をするようになる。彼の二番目の妻は、ネルソン・ロックフェラー (Nelson Rockefeller 1908-1979)の秘書をしていた女性であった。

 中曽根はセイヤーやキッシンジャーを通してロックフェラーとつながり、政界で出世するきっかけをつかんだが、同時にキッシンジャーは中曽根を通じて、日本の各界のボス達とつながることができた。こうして、中曽根やキッシンジャーという仲介人をもとにして、支配層と奴隷層がうまくつながり、植民地支配が円滑にまわるものとなったのである。

 

池田大作先生の足跡 > 世界交友録 > ヘンリー・A・キッシンジャー

https://www.sokanet.jp/sokuseki/koyu/kissinger.html

 

 キッシンジャーは政界を引退した後、CSISの理事となっている。彼の植民地支配のノウハウは、CSISに受け継がれた。それゆえ、キッシンジャーと中曽根の関係は、次回に詳述するマイケル・グリーンと小泉の関係と基本的に同じである。

 アメリカの学者に教育された中曽根は、見事な忠犬となった。以下の中曽根の発言は、彼が見事に洗脳されたことの証明と言える。それはアメリカの大学という軍事力の成果とも言える。原住民の酋長を白人の忠犬に仕立てあげるテクニックは、見事なものである。それは、ミサイルや戦闘機などの物質的テクノロジーよりも、遥かに重要な軍事的技術ではなかろうか。

 

不沈空母、中曽根氏やはり発言? 訪米時、日本側が記録

https://www.asahi.com/articles/ASJDV4K3LJDVUTFK00F.html

 

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H.Kissinger and N.Rockefeller