戦争と平和、そして無記

国際政治や歴史、およびその根底にある人類の心のメカニズムについて考察していきます。

第三十四回 水道民営化の実現

1.「空気と水はタダ」という原則の崩壊

 前回のブログで、2015年に成立した集団的自衛権関連法が、ついに今月、実行に移された件について述べた。これは日本が平和国家として長年守ってきた専守防衛の原則を崩したことを意味するが、それについては前回のブログで述べたので、そちらを参照していただきたい。

 今回はCSISシリーズに戻ろうと思ったが、今月はもう一つ重大なニュースがあったので、そちらについて述べたい。今月の頭に消費税がついに10%となり、これも大ニュースであるが、ある意味それよりも衝撃的なことが同日にあった。2018年12月6日に成立した水道民営化関連法が、2019年10月1日、ついに施行されることとなったのだ。

 

水道法が施行。3年後にコンセッション開始か

https://news.yahoo.co.jp/byline/hashimotojunji/20191002-00145069/

 

 これにより、日本が長年守ってきた「安全な水道水」という原則は崩壊する。今後は我が国でも、「安全な水」が欲しければ蛇口から水を出すのではなく、どこかでペットボトル入りの高価なものを買うしかないということになる。つまり、金持ちだけが「安全な水」を飲めるということになる。このような大ニュースが、台風やラグビー天皇即位や芸能人の脱税よりも遥かに小さなニュースとして、小鳥の囁きのように報じられている。これはマスコミの皆さんというカポーたちによる偉大な成果である。

 このブログの読者の皆様は、日本における政策決定が、日本人の政治家や官僚の考えによって決定されているわけではないということを、よくおわかりであろう。自衛権の件もそうである。日本人がホルムズ海峡に行って戦闘行為をしたいわけではない。それは外人の命令である。その命令を、忠実なる日本人のカポーたちが実行する。

 水道の件もそうである。日本人が泥水を飲みたいわけではない。では、なぜ日本人がこうした自虐行為をするのかと言えば、これもまた外人の命令である。

 

貧乏人は水を飲むな。「水道民営化」を推進するIMF、次のターゲットは日本

https://www.mag2.com/p/money/10990

 

 水道が民営化されたら、貧乏人は蛇口から出る汚染された水を飲んで病気になる。その具体的な姿については、2018年のマイケル・ムーアの映画「華氏119」(911ではなく119)に詳しいので、ツタヤなどのレンタル店に行って、DVDを借りて見てみるとよい。子どもたちは水道の水を飲んで健康を害する。大統領や知事は水道会社の味方であり、国民の味方ではない。それは現在のアメリカの姿であるが、他人事ではなく、今後の日本の姿でもある。

 

2.どこの外人が命令しているのか

 IMF国際通貨基金)という国際組織を知らない人はほとんどいないだろう。中学生でも名前くらいは知っているかもしれない。しかし、IMFが世界支配機構の一つであることを知っている人は、ほとんどいないだろう。大人もそれを知らないことがほとんどである。

 IMF国際通貨基金)も世界銀行も、同じ穴のムジナである。つまりRevolving Door(回転ドア)である。Revolving Doorについては、第八回ブログ第三十回ブログを参照していただきたい。そこで取り上げたスタンレー・フィッシャーや緒方貞子は、Revolving Doorを通って様々な仕事を経験しているが、実質的には一つの組織の中で異動しているだけである。

 ある時は大学、ある時はIMF、またある時は世界銀行、そしてまたある時はイスラエル銀行、そしてまたまたある時はシティバンク、これらは形式的には別組織であるが、実質的には一つである。一つの屋根の下で、あっちへ行ったり、こっちへ行ったりしているだけである。エージェントはRevolving Doorを通っているだけであり、一度も転職をしていない。

 では、この「同じ穴」は何であるか。厄介なことに、この「穴」には名前がついていない。それゆえ、それは「陰の世界政府」とか「World Order」とか「国際金融資本家」とか、様々な名前で呼ばれるが、正式名称がないため、怪しい名称で呼ばれる他はない。当然、品行方正をモットーとする大マスコミはこの「穴」について一切語らないが、今回の水道民営化について日本に命令しているのも、この「穴」である。

 日本の政治家はカポーとして、その命令を忠実に実行している。というか、忠実に実行するような忠犬しか、カポーになれない。ヤジロウとして出世したいなら、売国奴になるしかないのが、植民地の有色人種の哀しさである。吉田茂(1878-1967)というカポーの孫である麻生太郎も、自国民にムチを打つことで、自らのカポーとしての地位を守るしかない。

 

「日本のすべての水道を民営化します」

https://iwj.co.jp/wj/open/archives/95944

 

f:id:isoladoman:20191027133337j:plain

Taro Aso and Michael Green

3.カポーでない日本人は90歳まで生きるのは難しい

 水道民営化という売国のために、一生懸命に日本のカポーたちは頑張ったわけであるが、その主要人物の一人が、竹中平蔵というカポーである。彼はもともと笹川グループ出身である。笹川グループは、CIAのエージェントである笹川良一によってできた組織であるが、詳しくは第三十一回ブログを参照していただきたい。竹中平蔵は、もともと笹川グループの番頭さんであり、アメリカの忠犬である。

 

水道法改正のウラで安倍官邸が不可解な補助金新設 竹中平蔵と疑惑の補佐官が暗躍

https://dot.asahi.com/dot/2018123100005.html?page=1

 

 上記の中で福田さんが仲良くしているフランスの会社がヴェオリアである。ヴェオリアは日本の水道事業も手掛ける予定だが、日本全土に放射能で汚染された土をばら撒く仕事も請け負う予定である。

 

ヴェオリア、日本で低レベル放射性廃棄物処理

https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM15H7E_V10C16A4MM8000/

 

 カポー紙である日経新聞は、日本でばら撒かれる汚染土を「低レベル放射性廃棄物」と呼んでいる。これではまるで安全な廃棄物であるかのようだ。しかし、これはキロあたり8000ベクレルの汚染土である。ベクレルやシーベルトと言われても、日本人のほとんどは何のことかよくわからないだろう。日本は二回原爆が落とされ、一回レベル7の原発事故を経験しており、世界でも稀にみる放射能被害大国であるが、国民のほとんどはベクレルとシーベルトの違いを知らない。つまり、放射能についての基本的な知識を有しない。

 これは日本人が国際金融資本家の計画によってバカになるように教育されているから仕方のないことだと言える。ベクレルとシーベルトの違いについては、別の機会に述べたいと思うが、平時の汚染土の基準は、キロあたり100ベクレルまでである。つまり、それ以上に汚染された土は、普通の土と区別され、放射性の汚染土として特殊な廃棄がされなければ違法となる。つまり、8000ベクレルの汚染土は、平時であれば、とてもじゃないが「低レベル放射性廃棄物」とは呼べない。

 しかし、今の日本は原子力非常事態宣言の下にある。つまり、非常事態にあるので、平時の法律は適用されない。非常事態なのだから、平時の法律ではなく、非常事態時の法律が適用される。非常事態時の基準は、キロあたり8000ベクレルである。つまり、8000ベクレルまでの土なら、非常事態なので、普通の土と同じものとして処理していいのである。

 

原子力緊急事態宣言は今も解除されていない

https://webronza.asahi.com/science/articles/2018031100003.html

 

 日本人のほとんどは、自分が今、非常事態宣言下で暮らしていることを知らない。しかし、国民はそれを知らなくても、国は既にその宣言を正式に発令している。だから、その非常事態の下で、非常事態に適用される特別な法律をもとに、8000ベクレルの汚染土をフランスの企業と連携して日本全国にバラ撒くことは合法である。

 国民がそれを知らないとしたら、それは知らない国民が悪い。これが政府のスタンスである。なぜなら、政府は公的に発令し、情報を隠していないからである。マスコミはこれを報じないが、それはマスコミという民間企業の責任であって、政府のせいではない。マスコミからすれば、何を報じ、何を報じないかは企業としての選択の自由であり、憲法上保障されている「表現の自由」、つまり「表現しない自由」である。こうして、政府もマスコミも自由主義の名の下で、いくらでも言い逃れができる。

 

いいのか? 公共事業で世界の汚染土ビジネス!

https://matome.naver.jp/odai/2146968855320005301

 

 カポーである竹中先生は、これからの日本人は年金に頼らず、90歳まで自分の力で働き抜けと言う。しかし、水道は汚染され、国土には8000ベクレルの土がバラまかれ、その汚染土で作られた農作物を食べる日本国民が、果たして90歳まで生きることができるだろうか。普通に考えて、そこまで長生きするのは難しいと考えざるを得ない。

 となると、90歳まで元気に生きて働くのは、日本国民ではなく、竹中先生自身であろう。竹中先生はこれからも、World Orderの忠実なるカポーとして、きっと90歳まで、あるいは100歳まで、元気にムチを振り続けてくれるに違いない。

 

竹中平蔵「現代人は90歳まで働くことになる」

https://president.jp/articles/-/30182