戦争と平和、そして無記

国際政治や歴史、およびその根底にある人類の心のメカニズムについて考察していきます。

第四十八回 新型コロナウイルス その蔓延を喜ぶのは誰か

0.予定変更

 今回は予定を変更し、新型コロナウイルスについて考察していきたいと思う。

 

1.動物という物言わぬ魔女

 新型コロナウイルスの感染源は、中国の食物市場にあるアナグマや竹ネズミではないかと言われている。日本の大手メディアは、概ねそうした論調で報道している。

 

新型ウイルス肺炎「感染源は市場の野生動物か」中国の専門家

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200122/k10012254981000.html

 

新型肺炎、感染源はどこ? 中国の専門家、分析さまざま

https://www.asahi.com/articles/ASN1X4WN1N1QPLBJ004.html

 

 感染源が野生動物ということなので、美食家の間では「ジビエは食べても大丈夫か?」という懸念となっているようだ。

 

日本の「野味」は大丈夫? 拡大する新型肺炎 野生動物を安心して食べるには

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/579116/

 

 今回のウイルス蔓延事件により、中国のアナグマや竹ネズミは、「感染源」とされ、世界中から悪者扱いされているようだ。なお、竹ネズミは「ネズミ」とは言っても、日本人が想像するネズミと違い、以下の記事を見てもわかる通り、かなり大きいようである。

 

タケネズミを食べてもよいか?専門家は「新型ウイルス発生での非常事態には控えるべき」

https://www.afpbb.com/articles/-/3264840

 

 しかしもし彼らが、人間の手でウイルスに感染させられたとしたらどうだろう。仮定の話だが、アナグマや竹ネズミが人間の手によって新型ウイルスに感染し、感染した彼らが市場に出回り、その結果として人間が感染したならば、それはアナグマや竹ネズミのせいではなく、人間の自業自得であると言えないだろうか。

 中世ヨーロッパでは、霊感の強い女性がペストの原因だとされ、火あぶりにされた。いわゆる魔女狩りである。しかし、中世ヨーロッパにおけるペスト蔓延の原因は、当時の不潔なヨーロッパ人の習慣にあった。

 

不潔なのが当たり前?! 城塞都市のトイレやお風呂の衛生事情

https://www.phantaporta.com/2017/11/blog-post22.html

 

 自業自得で苦しんでいる人間ほど、苦しみの原因を外部に探すものである。それゆえ、魔女狩りは中世のみならず、人間社会において常に起きる。アナグマや竹ネズミは悪者扱いされ、日本を歩く中国人観光客は煙たがられ、ヨーロッパを歩くアジア系の人々は煙たがられる。我々は簡単に誰かを魔女に仕立て上げ、あるいは何かのきっかけで、我々が簡単に魔女に仕立て上げられることもありうる。

 

2.金儲けにつながる大量破壊兵器

 ウイルス兵器の起源は、ヨーロッパ人によるアメリカ大陸侵略の時代にあると言われている。天然痘に感染した兵士が使っていた毛布を、白人がネイティブ・アメリカンにプレゼントしたのだ。これにより白人は、自軍兵士を失うことなく、相当数のネイティブ・アメリカンを殺す方法に気づいた。

 これ以来、化学兵器は戦争にとって欠かせないものとなった。白兵戦では味方に多くの犠牲者が出るが、毒ガスを撒くなら、死ぬのは敵だけである。また、この技術は民間転用ができ、戦後は金儲けになる。毒ガスは殺虫剤になり、枯葉剤は除草剤や抗がん剤へと進化した。女性用のナイロンストッキングを開発したのも、核ミサイル用のプルトニウムを開発したのも、デュポンである。

 大量破壊兵器と言えば、多くの人は核ミサイルを思い浮かべるかもしれない。しかし、核開発は莫大な金がかかるし、実戦で使用しづらい。その点、化学兵器は低コストで高効率であり、使い勝手がよい。核ミサイルなら誰が撃ったかわかってしまうが、化学兵器生物兵器、ウイルス兵器)の場合は誰が撒いたかわかりづらい。また、戦後は民間転用で金儲けになる。つまり、安い、(死者が)多い、儲かるの三拍子である。

 そのため現代においても様々な軍事大国が、化学兵器生物兵器、ウイルス兵器)開発に余念がない。アメリカにおける化学兵器研究の拠点は、メリーランド州にあるフォート・デトリック(Fort Detrick)である。ここで、米軍に雇われた科学者たちは、日夜、大量に人を殺せるウイルスや化学物質を開発中である。

 ただここ数年、米軍は単独研究ではなく、日本にもその下請け的な働きを望んでいる。そのため、日本国もどうやらウイルス兵器の開発に余念がないようだ。文科省が官邸に忖度して、総理のお友達が四国に獣医学部を強引につくったことが一時期問題となったが、本当は国の税金を使って殺人ウイルスをつくる方が余程問題のはずだ。

 

石破茂氏の発言で懸念広がる加計学園の「バイオハザード問題」

https://nikkan-spa.jp/1372508

 

 この点については第二十九回ブログを見直してもらうか、「新聞記者」という秀逸な映画をご覧いただきたい。

 

映画『新聞記者』 公式サイト

https://shimbunkisha.jp/

 

 さて、今回のウイルス事件で世界的に有名な都市となった中国の武漢であるが、ここには最新鋭のウイルス研究所が存在する。それが「武漢国家生物安全実験室」と「中国科学院武漢病毒研究所」である。そのため、明確な因果関係は立証できないが、今回の新型コロナウイルスはこの施設で開発されたものなのではないかと推測する記事もある。

 

中国の新型肺炎イスラエルで「生物兵器の可能性」指摘される

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200129-00010003-flash-peo

 

習政権「新型肺炎」感染者10万人超“隠蔽”か!?

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200130-00000005-ykf-int

 

 研究所の中に第三者が潜入して取材することは不可能なので、今回の新型ウイルスが人工のものであるというのは、あくまで仮説に過ぎない。しかし、ウイルスを何でもかんでも自然発生的に生じたものだと考えるのは誤っている。エイズやエボラも、研究所でつくられたものである可能性はある。

 ウイルス技術は軍事的価値のみならず、民間技術として応用できる「金のなる木」である。金の匂いのするところには、金が集まってくる。ということは、現在世界に出回っているウイルスのかなりのものは、研究所によってつくられたものである可能性もある。

 

3.戦争の下準備としてのウイルス

 台風であろうが、ウイルスであろうが、現在の科学技術の水準からすれば、それらは人工的につくることが可能である。これは都市伝説ではなく、科学の常識である。人工台風については、第三十二回ブログをご覧いただきたい。

 結局のところ、今回の新型コロナウイルスについても、自然発生なのか人工なのか、決め手となる証拠は見つけられない。なので、どちらの説にしても推測でしかない。武漢の研究所でつくられたものだと推測する記事については先にあげたが、自然発生のものだと推測する論者もいる。軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は、今回の新型コロナウイルスは自然発生のものだと考える方が妥当だと述べている。

 

新型ウイルス「中国が秘密開発した生物兵器」トンデモ説が駆けめぐった一部始終

https://www.businessinsider.jp/post-206829

 

 確かに、新型コロナウイルスの殺傷力は強くないので、殺傷力という観点からすれば、黒井氏の述べていることは説得力がある。しかし、今回のウイルス蔓延の目的が、大量殺傷でないとしたらどうだろう。例えば、政府が戦争を遂行しようとする時、そこには事前準備が必要である。いきなり戦争をすることはどこの国でもできない。

 そのいい例が911事件とイラク戦争であり、イラクとの大規模な戦争の前には、ニューヨークのビルを破壊するなどの様々な準備が必要であった。その準備の一環と見られている事件が、炭疽菌事件(2001年9月18日、同年10月9日)である。炭疽菌の入った封筒が、アメリカのテレビ局や出版社に送られ、封筒を開封した5名が死亡、17名が負傷した事件である。しかし、その凄まじい効果は殺傷力よりも、国民に与えた心理的効果であった。

 つまり、戦争を準備している側からすれば、準備段階で大量の人間が死ぬ必要はない。むしろ、死者は少数でかまわない。そのためには、実戦兵器としての本格的なウイルスは必要ない。大衆の心を、いつ、どこで、何が起こるかわからないという不安な気持ちにさせることが大事なのである。

 炭疽菌事件の死亡者数は5名に過ぎなかった。しかし、アメリカ国民全体の心に影響を与えた。ビルの破壊。ペンタゴンの破壊。炭疽菌事件。その他様々な下準備があり、ナイラ事件(第十五回ブログを参照)が発火点となり、アメリカ世論はイラク戦争へと流れていった。

 安定した社会においては、一般国民は常に戦争に反対である。戦争で大儲けできるのは少数の資本家だけであり、一般国民にとって戦争の利益はないからだ。そのため、一般国民に「戦争もやむなし」と思わせるにはそれなりの操作が必要である。疑心暗鬼になり、人心が不安定となって、はじめて戦争が可能となる。ウイルス兵器は、戦場で敵国の人間を殺す目的で使われるのみでなく、自国の人間の心を乱れさせるために使われる可能性がある。

 今、世界に蔓延している新型コロナウイルスは、自然発生のものかもしれないし、人工のものかもしれない。誰かが故意にばら撒いたものかもしれないし、事故で漏れたものかもしれない。しかし、そういった原因は、もしかしたらどうでもいい問題なのかもしれない。我々が薬屋に行って「マスクがない!」と右往左往している姿を、嗤いながら見ている人達がいるのだろう。彼らにとっては、ウイルスの原因が何であれ、大衆の心が乱れているのは喜ばしいことである。

 

マスク売りきれ問題、中国人の買い占めが日本にまで及ぶ事情

https://diamond.jp/articles/-/227324

 

 なお、ウイルス狂詩曲の嵐の中、海上自衛隊護衛艦「たかなみ」は、本日(2020年2月2日)中東へ出港している。いよいよ日米合同での中東での軍事作戦が本格的に開始するのであるが、そんなニュースはウイルスで心がいっぱいになっている国民の関心事ではない。これも、戦争をしたい人たちからすれば大変に喜ばしいことであろう。

 

中東派遣の護衛艦が2日出航 下旬到着、情報収集や不審船警戒

https://this.kiji.is/596243816199717985?c=65699763097731077