戦争と平和、そして無記

国際政治や歴史、およびその根底にある人類の心のメカニズムについて考察していきます。

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

第五十六回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(9)

1.第三の男 イランの近現代史は、二人のモハンマドを軸として展開した。一人はモハンマド・レザー・パフラヴィーであり、もう一人はモハンマド・モサデクであった。二人の「モハンマド」は対照的であり、一方は王様、もう一方は民主主義者であった。そして…

第五十五回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(8)

1.無名の海賊から世界的に有名な海賊へ 日章丸は1953年4月8日、夜陰に隠れてホルムズ海峡を通過し、4月10日、ついにアーバーダーンの港に到着した。イギリス海軍に見つからないよう細心の注意をはらい航行した日章丸であったが、アーバーダーン港に到着し…

第五十四回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(7)

1.モサデクと出光の出会い アメリカとイランの関係は現在最悪と言えるが、日本とイランの関係は悪くない。それには1953年の日章丸事件が関わっている。日本人は忘れても、イラン人はこの事件を忘れないのである。 在日本イラン大使館、「イランの人々は、…

第五十三回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(6)

1.幻想のアメリカと数式のアメリカ 前回述べた通り、イランの独立を志したモサデクは、民衆の英雄から一転、犯罪者となった。国民に期待され、選挙によって首相となったモサデクは、逮捕され、投獄されることとなる。 Mohammad Mosaddegh in court, 8 Nove…