戦争と平和、そして無記

国際政治や歴史、およびその根底にある人類の心のメカニズムについて考察していきます。

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

第九十九回 新しい時代に何を手放すのか(6)

1.鈍感力による繁栄 前回のブログで触れたように、朝顔の実験における科学的理解はIQやEQの問題ではない。また、民族や言語、文化や宗教を問わない。ホモ・サピエンスに共通して埋め込まれている知的プログラムである。 プログラム、すなわちそれは自動的…

第九十八回 新しい時代に何を手放すのか(5)

1.神のような知性が悪魔になる 私はキリスト教徒ではないが、時折聖書を読む。読むたびに、サピエンスの始まりを示す以下の文章が、あまりにも見事に構成されているため驚く。 旧約聖書 創世記 関根正雄訳 岩波文庫 13-14頁 さてヤハウェ神がお造りになっ…

第九十七回 新しい時代に何を手放すのか(4)

1.命を謳歌する動物と、命に怯える人間 智慧の樹の実を食べたアダムとイヴは、エデンから離脱する。こうして人類の始祖はヤハウェから呪いをかけられ、悲しみとともに楽園を去った。だがそれは心躍る船出でもあった。田舎から都会に出た若者が、親もとを離…

第九十六回 新しい時代に何を手放すのか(3)

1.サピエンスに対する恐れ 「最も恐ろしいもの」と言われて、何が頭に浮かぶだろう。核ミサイルであろうか。戦争であろうか。全財産を失うことであろうか。それとも究極の恐怖、すなわち死であろうか。ところで私ならその問いにこう答えたい。「最も恐ろし…