戦争と平和、そして無記

国際政治や歴史、およびその根底にある人類の心のメカニズムについて考察していきます。

第百十七回 ワクチンを打たない人間は非国民なのか(2)

1.マーガリンを「バター」と呼ぶ

 沖縄ではマーガリンのことを「バター」と呼ぶ人が結構いる。結果、両者の区別は極めて曖昧になる。ご飯の上にマーガリンをのせ、醤油をかけて食べる人がいる。

 

ushigyu.net

 

 もちろん、沖縄でもマーガリンの主たる用途はパンであり、ご飯のおかずになることはそれほど多くない。問題は呼び方である。マーガリンを「バター」と呼んでしまうことは、危機意識を著しく軽減させる。実際、バターとマーガリンは完全に別物であり、片方の原料は牛乳、もう片方は石油である。

 牛乳と間違って石油を飲んでしまうという人はいないだろう。だが、マーガリンとバターは見た目が似ているために、持って非なるものを混同する危険性がある。こうなると、沖縄県ではマーガリンの消費量が他県よりも多いように感じられる。

 だが、データで見ると沖縄県は全国で41位である。マーガリンをごはんにのせて食べ、スーパーで売られているパン類にはほとんどマーガリンが入っており、なおかつマーガリンを「バター」と呼ぶ人が多い沖縄県。その事実からすれば、マーガリン消費量41位という結果は意外である。

 

todo-ran.com

 

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株式会社ぐしけんの「健康パン」

      「健康」と言いながら、中身はマーガリンたっぷりである。

 

 とは言っても、やはりバターとマーガリンの区別は大事ではなかろうか。マーガリンはバターより安い。だが「安い」というのは理由がある。牛乳を原料としたらあの値段は無理である。石油だから安いのだ。そのことをちゃんと認識すれば、やむを得ずマーガリンを摂る場合でも、自覚的にリスク管理ができるはずである。

 

2.こちらの混同の方が恐いかもしれない

 ワクチンの問題もこれと同じである。呼び方というものは恐ろしい。マーガリンを「バター」と呼べば警戒心が激減することと同じように、「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン」を単に「ワクチン」と呼んでしまえば、人々の危機感は激減する。

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ファイザー社 コミナティ筋注 コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン

 これまで我々が接種してきたワクチンは、治験を終了し、厚労省によって承認されたものである。開発から早くて4~5年、遅ければ10年、20年を経たものである。それでも100%の安全性は達成できない。例えばインフルエンザワクチンにおいては、接種後の死亡者が毎年発生している。平成30年シーズンでは、副反応報告208、重篤78、死亡3だったとのことである。

 

平成30年シーズンのインフルエンザワクチン接種後の副反応疑い報告|厚労省

 

 一方、ファイザーの新型ワクチンの治験終了の予定日は、2023年5月2日である。今は2021年10月、つまり治験の真っ只中である。治験が終わっていないものを人々が接種するのだから、「承認」ではなく「特例承認」なのである。

 もちろん、様々な要因からこの治験に参加し、危険性を覚悟の上で新型コロナの抗体を得たいという人もいる。だから、接種は個人の自由である。打つも自由、打たぬも自由が治験中の原則である。ところが、である。最も大事な自由の原則が、欧米を中心に雪崩の如くに崩壊しつつある。義務化の嵐が欧米で席巻しているのだ。

 

jp.reuters.com

 

 この記事の内容は恐ろしい。新型コロナウイルスはたとえ感染しても、若年層においては重症化あるいは死亡の確率が極めて低いことが世界的に知られている。だが、カリフォルニア州の知事は児童に対して治験中のワクチンを義務付けると述べている。しかも、その理由が凄まじい。

 「カリフォルニア州ではすでに、はしかやおたふくかぜ、風疹の予防接種を生徒に義務付けている。新型コロナウイルス感染症にも同様の措置を取らない理由はない」と知事は述べているが、承認済みワクチンと治験中のワクチンを混同してはいけない。強制的に打たれる子どもからすれば、非常に困ったことである。

 アメリカ人はトランス脂肪酸について日本人よりも遥かに神経質であり、マーガリンを好まない。彼らからすればマーガリンを「バター」と呼び、ご飯の上にのせて食べている沖縄県民は愚かに見えるかもしれない。

 だが、アメリカ人の混同も凄いものがある。もし、子どもたちに給食で毎日マーガリンを食べさせる学校があったら、アメリカでは父母からの強い批判が来るだろう。しかし、ワクチンでは平気でそうした混同が起きている。

 自己責任でマーガリンを食べるのは自由であろう。だが、無理やり口の中に入れられるなら暴力である。しかも犠牲者は子どもたちである。一体、この世界はどうなってしまったのだろうか。沖縄の人たちの勘違いが馬鹿にされるような時代は、まだ牧歌的であった。これからはワクチンを打たない人間が非国民と見なされる時代が到来し、国家の暴力が当たり前となってゆく。

 

news.yahoo.co.jp

 

www.cnn.co.jp

 

3.非国民から国民へ、そして御用学者へ

 最近、最も驚いたニュースが下記神戸新聞の記事であった。

 

www.kobe-np.co.jp

 

 宮坂先生については、第百六回ブログで取り上げた。日本の免疫学の第一人者であり、推進派の学者たちが揃って口を閉ざす、あるいは否定するADE(Antibody-dependent enhancement 抗体依存性感染増強)のリスクについて積極的に発言されていた先生であった。詳しくは以下の記事を見ていただきたい。

 

diamond.jp

 

 記事が削除されることを考慮して、以下に先生の発言を一部引用しておく。

 

日本の感染状況では、東京や大阪などの新規感染者数は10万人当たり20人から50人くらいです。しかもその中で、他の人にうつすのは1割から2割といわれている。要は、私たちが他人にうつす感染者と出会う確率は、1万人に1回あるかないかです。

 一方で、ワクチンを接種して重篤な副反応が現れる頻度は100万回に数回です。私たちは、ワクチンのメリットとリスクを天秤にかけて判断しないといけません。

 ワクチンは治療薬と違い、健康な人が予防効果のために接種するものです。高い安全性が求められます。ワクチン接種が始まるのは2021年半ば以降と見込まれますが、拙速に動くべきではありません。

 また、ワクチンは皆が接種を受けないといけないと迫るべきものではありません。個人の自由、個人の意思の下に受けるなら受け、受けたくない人は無理に受けなくていいとすべきものなのです。

 

www.tokyo-np.co.jp

 

きちんと手順を踏まずに接種をすれば人体実験になってしまう。効果の低いワクチンで安心し、かえって感染を広げることも。効いたらもうけものだという考えではだめ。有効なワクチンの開発には2年はかかるだろう。

 

diamond.jp

 

政治的な思惑もあり、世界的にワクチン開発に巨額の資金がつぎ込まれていますが、とにかく拙速に動くべきではありません。

 

 「個人の自由」と言っていた宮坂先生であるが、神戸新聞の取材においては「打たないチョイスはない」と言いきっている。また、繰り返しADEの危険性について述べていた先生であるが、神戸新聞の記事では一切触れられていない。また、内容的には完全にワクチン推進派の文脈になっており、慎重に思考する従来の先生の姿は消え失せている。

 正に「君子豹変す」である。だが私は先生を批判するつもりはない。私は先生の事情を知らないのだから、批判しても意味がない。私の知らないところで、「豹変」せざるをえない事情が、先生にはあったのかもしれない。

 正論を述べることはリスクを伴う。特に、著名人となればそのリスクは格段に増す。もしかしたら、正論を述べていた先生のもとには、様々な誹謗中傷のメールやFAX、電話が到来し、街宣車が来たのかもしれない。あるいは、CIAの人が「お見舞い」に来たのかもしれない。もちろん、私には真相はわからないが。

 ちなみに、街宣車は一部の方々に人気があり、プラモデルにもなっており、ネット上で取引がされているようである。

 

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プラモデル 三菱ふそう エアロクイーン 護國尊皇 右翼街宣車仕様

 先生は新型ワクチンを打った理由を、最新の論文を読んで安全性を確認したからだと述べている。だが、もしそれが建前で本音は違うとしたならどうだろう。本当の理由が非国民から正規国民に昇格するためだとしたら、「打たないチョイスはない」理由は、「ウイルスが恐いから」ではなく、「人間が恐いから」である。

 理由が同調圧力なのだとしたら、最新論文のデータは建前の理由にしかすぎない。そういったデータがなくても、人間が恐い場合には打つだろう。それは科学的な判断ではなく、政治的な判断である。自らの政治的な判断を、まるで科学的な判断であるかのように見せかけ、権力の傘の下で不利益から逃れ、利益を得る学者を、我々は「御用学者」と呼んでいる。

 バターとマーガリンを混同してはいけないことと同様、我々は学者と御用学者を混同してはならない。マーガリンはバターより安いが、本物の学者は御用学者より貧乏なものである。また、肩書もない。そして自由に発言ができるから、精神的に幸福である。

 北海道で町医者をしているシカハンターさんは、Youtubeで開いた複数の新型コロナ関連チャンネルを消されたために、ニコニコ動画で発言をしている。氏は、新型ワクチンは若者にとって「百害あって一利なし」とはっきりと、かつ科学的な知見をもとに述べている。削除される危険性を考えても、ご興味ある方は早めに見る方がいいかもしれない。

 

www.nicovideo.jp

 

 氏によると、日本の若者が「百害あって一利なし」のワクチンを強要されている理由は、感染防止のためでもなければ、重症化阻止のためでもない。日米関係のためである。つまり、科学的な理由ではなく、政治的な理由である。

 この正論が迫害され、YouTubeでは消されてしまうためにニコニコ動画に上げられ、なおかつそれもこの先どうなるかわからないというのは、妙な話である。人間という不思議な生き物は、正論よりも未承認のワクチンの方が好きであり、マーガリンより正論の方が嫌いなのかもしれない。

 

※ 次回は2021年10月22日にアップロード予定です。