戦争と平和、そして無記

国際政治や歴史、およびその根底にある人類の心のメカニズムについて考察していきます。

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

第六十五回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(15)

0.前々回の続き 今回からイランの現代史に戻りたい。第六十三回ブログの続きである。 1.立憲民主制の終焉 1979年1月16日、イラン王であるモハンマド・パフラヴィーは、イランから出国した。王はその後イランの地を踏むことなく、翌年カイロで死去した。…

第六十四回 文春砲は牧場の柵内でのみ炸裂する

0.予定の変更 イランの現代史の続きについて書く予定であったが、今回は予定を変更し、検察官と新聞記者による麻雀大会について報じた「文春砲」について考察していきたい。 1.「ズブズブ」ではなく「同僚」 文春砲によって、黒川検事長と新聞記者による…

第六十三回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(14)

1.人権弾圧は石油によって容認される 1978年、コムのデモが発端となり、イランでは各都市で反政府運動が行われるようになった。首都テヘランでは、10万人規模のデモが行われるようになっていた。地方では各民族による自治権の拡大が叫ばれ、労働者はストラ…

第六十二回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(13)

1.燃え広がる火事を見ても危機感を抱けない 第六十回ブログで述べた通り1978年のイランにおいては、コムのデモが発端となり、各都市で反政府デモが巻き起こった。この状況下で1978年8月18日、アーバーダーンの映画館、シネマ・レックスで火災事件が起き、…

第六十一回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(12)

1.日本とイランの違い 「日本はアメリカの植民地だ」と言うセリフはよく聞く。日常会話でも時おり耳にするし、属国日本論についての書籍は大きな図書館に行けば必ず見つかる。街角にはある政党のポスターが貼られており、「アメリカの言いなりやめよう」と…