戦争と平和、そして無記

国際政治や歴史、およびその根底にある人類の心のメカニズムについて考察していきます。

2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧

第四十三回 奴隷のしつけ方(6)

1.ミルグラム博士の実験 前回は、1942年の大日本帝国政府による戦争大綱を例にとり、「二兎を追う者は一兎をも得ず」、すなわち「インテグリティ(integrity)」の欠如について考えた。「インテグリティ(integrity)」に欠けた人間の判断について具体的に…

第四十二回 奴隷のしつけ方(5)

1.内なる「統合性」 「インテグリティ(integrity)」という言葉は、前回引用した矢部宏治さんの本に書かれているように、「人格上の統合性」や「清廉潔白な人格」といった意味である。しかし、これだけでは抽象的な説明になってしまうために、より具体的…

第四十一回 奴隷のしつけ方(4)

1.植民地システムは米兵を幸せにするわけではない 米兵が日本という植民地で事件を起こす場合、宗主国特権により、日本人とは違った扱いを受ける。前回までそのことについて述べてきたが、これは米兵にとって好ましいシステムであるとは、一概には言えない…

第四十回 奴隷のしつけ方(3)

1.沖縄のタクシー運転手は対岸の火事か 沖縄で起きる事件を対岸の火事だと思う日本人は非常に多い。沖縄には米軍基地がたくさんあるが、本土の人間にとってはそこまで基地は身近なものではない。そのため、自分には関係ないだろうと考える日本人が非常に多…

第三十九回 奴隷のしつけ方(2)

1.宗主国の人間が犯罪をした場合 前回、仮の話として、もし私が友人とタクシーにのり、運賃を払わず、運転手に殴る蹴るの暴行をくわえたらどうなるかというシミュレーションをしてみた。結論としては、犯罪者として私と友人は、刑事上の責任、民事上の責任…