戦争と平和、そして無記

国際政治や歴史、およびその根底にある人類の心のメカニズムについて考察していきます。

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

第十六回 大手メディアという既得権益(その一)

前回のブログで見たように、1835年のアラモ砦の戦い以来、アメリカが戦争を起こすパターンは約200年に渡って同じである。政府および関連企業が戦争を起こすためのシナリオを書き、メディアがそれに協力し、国民はそれに騙される。リメンバーアラモ、リメンバ…

第十五回 アメリカの開戦パターン

どこの国であれ、国民は生活第一であるから、戦争を望まない。そのため、政府が戦争を遂行するには世論の喚起、国民の賛同が必要である。2019年6月13日、ホルムズ海峡近くのオマーン湾(Gulf of Oman)で二隻のタンカーが何者かによる攻撃を受けた。今のとこ…

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しばらくお休みいたします。 次は水曜にアップロードの予定です。

第十四回 ホルムズ海峡におけるタンカー攻撃とバルーチ人組織

ホルムズ海峡は世界の原油物流量の約5分の1が往来する海峡であり、日本にとっても流通の生命線である。そのホルムズ海峡において、昨日(2019年6月13日)、巨大なタンカー2隻が何者かによる魚雷または機雷の攻撃を受けた。 1隻は東京都千代田区の海運会社「…

第十三回 民営化勢力の圧力と戦争

トランプは最初、アメリカファーストで自国中心主義外交だと言われていた。つまり、他国のことには干渉せず、ひたすら自国の経済ばかりに目を向ける政権であると。しかし、イスラエルの右派に対する積極的な関わりは、アメリカ史上なかったほどのものであり…

第十二回 イランとイスラエルが戦争になったらどうなるか

アメリカやロシアの介入が仮にまったくなく、イランとイスラエルの二国間だけで戦争になったとしても、それは中東全体の大戦争へと発展する。イスラエルは200発の核ミサイルを持っているので、米軍の介入がなくとも、イランを崩壊させる自信を持っているであ…

第十一回 イランが核ミサイルを持つことの意味

アメリカは7カ国の核合意を離脱した後、イランに対して経済制裁を続けており、イランと原油取引をした国や企業に対しても制裁を加えるとしている。これはあらゆる国に対して、イラン中央銀行との原油取引を禁じるという制裁である。イランの原油取引は全て、…

第十回 トランプ政権、驚きの政策(その二)

もう一つの驚きが、2018年5月8日、トランプ大統領によるイラン核合意(JCPOA Joint Comprehensive Plan of Action 包括的共同行動計画)の離脱表明である。これは世界的な大ニュースである。アメリカも含めて成立した2015年7月14日の核合意を、アメリカが一…

第九回 トランプ政権、驚きの政策(その一)

トランプ政権になって、ブッシュ父子のような強硬派でも実現しなかった驚きの政策が実行された。それが、エルサレムをイスラエルの首都として認め、アメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移したことである。2017年12月6日、トランプは、エルサレムをイ…

第八回 アルバート・パイクの経歴と中央銀行

アルバート・パイクは興味深い人物である。彼はメイソンの33階級(最高位)まで登り詰めた。アルバート・パイクをGoogle検索すると、フリーメイソンの正装をしたパイクの白黒写真が出てくるが、勲章の胸のところに「33」と確かに書いてある。 パイクの属した…

第七回 大衆を思考停止にするシステム

マッツィーニは近代イタリア建国の父、パイクはアメリカ南北戦争の将軍、ビスマルクはドイツの鉄血宰相・・・というふうに、歴史の教科書では各人物がバラバラに出てくる。しかし、そういう説明は読む者に断片的な知識を与えるが、肝心なことを伝えない。彼…

第六回 国際的リサイクルシステム

ヴァールブルク家はロスチャイルドと関係の深いユダヤ系ドイツ人の家柄である。その家の出身であるマックス・ヴァールブルク(英語読みはマックス・ウォーバーグ Max Warburg、1867年6月5日 - 1946年12月26日)は、金融資本家であり、ナチスを早い段階から資…

第五回 グローバル金融帝国の完成

民営化という言葉は、一般にはネガティブなイメージのものではない。しかし、実際のところ、民営化というものは恐ろしいものである。国営なら経営母体は国であるが、民営化されれば株式は市場に公開され、資金繰りは銀行を頼るようになる。つまり、国際的な…

第四回 アメリカの大統領が暗殺されるパターン

第一次世界大戦がはじまる前年の1913年、FRB(Federal Reserve System 連邦準備制度)ができる。なぜアメリカ中央銀行が「連邦準備制度」というわけのわからない名前になったかと言うと、先日紹介した安部氏の本(「世界超恐慌の正体」普遊舎新書)によれば…

第三回 なぜロマノフ王朝はそんなに憎まれた?

共産党にロシアを乗っ取られたロマノフ王朝のニコライ二世は、1917年3月に皇帝を退位する。しかし、日本において徳川慶喜が将軍を退位した後に一貴族として生きたようには、共産党はニコライ二世が生きることを許さなかった。結局、翌年の1918年7月、ニコラ…

第二回 アルバート・パイクの手紙

第三次世界大戦はどのように起こるのか。そのテーマを考えるなら、クラークが見たメモについて考慮すると同時に、アルバート・パイク(1809-1891)がジュゼッペ・マッツィーニ(1805-1872)に宛てた手紙(1871年8月15日付書簡)を見るのがよいだろう。その…

第一回 ウェスリー・クラークが見た戦争計画メモ

昔、ピーター・バラカンが司会のCBSドキュメントという夜中のテレビ番組があった。今から十年以上前の話である。私は毎回見ていたわけではなかったが、機会があるときは見ていた。イラク戦争によるフセイン政権滅亡からしばらくたって、その番組は、あるアメ…