戦争と平和、そして無記

国際政治や歴史、およびその根底にある人類の心のメカニズムについて考察していきます。

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

第八十二回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(26)

1.テヘランの壁画 これまでイランとアメリカの対立の歴史について長々と述べてきた。なので、読者の方々はイラン人がアメリカに対して怨恨を抱く理由についてはよくご存知であろう。イスラム革命以来、現在に至るまで、イランとアメリカは国交断絶の状態に…

第八十一回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(25)

1.解放と抑圧の革命政府 「毒を呑むよりつらい」と表現しながら、ホメイニーは国連安保理決議598号を受諾した。こうして「イラ・イラ戦争」と呼ばれた8年間の戦争が終わった。正確な死者数はいまだに不明であるが、少なく見積もっても、イラン人75万人、イ…

第八十回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(24)

1.両方負けるための戦争 前回のブログで述べた通り、国連安全保障理事会は1987年7月20日、イラン・イラク戦争を終わらせるために598号決議を採択した。これは両国に即時停戦を求め、国境線を戦争前の状態に戻すというものであり、応じない場合は経済制裁を…

第七十九回 イランとアメリカ、なぜ対立するのか ~その歴史的関係性(23)

1.虚ろな国の虚ろな大統領 王が統治する国を「王国」と言い、王を持たない国を「共和国」と言う。王のいない国、すなわち「共和国」では主権者は国民である。その国では王がいないから、国の舵取り役は主権者である国民によって選ばれる。国民から選ばれた…