戦争と平和、そして無記

国際政治や歴史、およびその根底にある人類の心のメカニズムについて考察していきます。

第百十回 薬屋の帝国と奴隷たち(1)

1.Money幕府は薬屋の言いなりになる

 江戸時代の人々に、次のような予言をしたらどうなるだろう。

 

「およそ400年後、薬屋が莫大な力を持ち、幕府をも動かすようになる。大名や将軍もその意向には逆らうことができない。幕府は金庫から500万両を差し出し、薬屋から薬を売ってもらう。その薬によって、町民には死人も出る。そうなっても薬屋は責任を取らず、幕府が肩代わりする。」

 

「武士だけでなく、かわら版や豪商も薬屋の言いなりである。ある商店主は薬を拒む番頭を店から追い出した。町内会も薬屋の味方で、薬に反対する町民を皆で苛めるという有様である。」

 

 予言とはいつの時代も意味不明な文言である。その内容はその時代の社会常識を超えているからである。江戸時代の人々にとってこの予言が意味不明であるのは、パンデミックやワクチンが存在しなかったからである。と同時に、より重要な要素がある。江戸時代にはグローバル経済が存在しなかった。

 現在の世界では、恐怖の大王は空から降って来なくても、地上の隅々まで浸透している。それがマネーパワーである。誰もが金を稼ぐために生き、金の支配下にある。誰も金には逆らえない。金持ちが尊敬され、名誉を得るようになる。

 

www.publickey1.jp

 

 江戸時代と違い、現在の将軍は徳川という人間ではない。金(Money)である。幕府(政府)が金庫に金を持っているのではない。金が政府を持っているのだ。金に選ばれた人間が政治家になり、権力となる。かつて武士として幕府に仕えた官僚たちも、今では天下り先の企業、つまり金のために働いている。

 今、最も儲かる商売は何だろうか。それは米作りでもなければ刀鍛冶でもない。小豆の卸売でもない。薬屋である。江戸時代の貨幣価値も変動しており、一概に言えるものではないが、江戸初期なら1両は現在の10万円程度の価値があったそうである。となると、5000億円なら500万両であろう。

 当時の人からすれば、500万両は目の玉が飛び出るような大金である。金沢は「加賀百万石の城下町」と言われたそうだが、百万石は今の貨幣価値では約600億円だそうである。となると、加賀藩の財力ではワクチンを5000億円で購入することは叶わぬ夢のようだ。

 

石川県民「百万石っていうけど、お金でいうといくらぐらいなんだろう」

 

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 最高の勲章を貰ったゲイツさんは、2002年から巨大な薬屋さんのファイザーに投資していたそうだ。もともとはコンピューター屋さんだったはずであるが、さすがの先見の明である。また、ゲイツさんはWHO(世界保健機関)の金庫番でもある。

 

www.motleyfool.co.jp

 

www.swissinfo.ch

 

 鎖国をしていた時代と違い、今の幕府は将軍も外国人の言いなりにならざるを得ない。かつて、この国では「切り捨て御免」という制度があり、武士には無礼な町民や農民を切り捨てる特権があったが、現在の武士は金持ちの外国人に無礼な振る舞いをすれば切り捨てられる可能性がある。

 徳川幕府は、1867年、大政奉還により幕を閉じる。その後、天皇がこの国の主権者となったが、皇国は1945年に滅亡する。以後、この国の玉座に座るのは人間ではない。そこに座るのは、金(Money)である。グローバル経済がこの国の王なのだ。

 

ビル・ゲイツ共同議長による安倍総理大臣表敬|外務省

 

菅総理大臣とビル・ゲイツ共同議長との電話会談|外務省

 

2.医は金術

 かつて、「医は仁術」と言われ、「医」は人を救う道であった。またそれは、人を救うことを通して自らを救うという「道(どう)」であった。だが、その信念は既に風化した遺跡のようなものになりつつある。医者がマネーパワーから外れることは、出世街道からの離脱を意味する。

 医師としてどんなに優れていても、マネーに反逆する者は出世できない。原発に逆らう科学者が出世できないことと同じである。現在、医は「仁術」ではなく、「金術」なのである。だがこのことは一般にはまだ浸透していない。だから医療業界について詳しくない人が以下の記事を読めば、驚くかもしれない。業界の住人からすれば、今更言うまでもない常識に過ぎないが。

 

医者と製薬会社の「悪しき慣習」|尾崎章彦(乳腺外科医)

 

医者に製薬会社が払うお金の知られざる真実|東洋経済

 

製薬会社と医師は癒着で多額利益、臨床研究の不正事件で数千億円の医療費が無駄に

 

ワクチン会社から謝礼を受け取っていた番組コメンテーター医師の実名

 

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フジテレビの番組に出演する二木芳人教授

 テレビによく出る二木先生の悪口を言っても意味がない。医者だけでなく、マスコミもマネーパワーの奴隷である。新聞屋さんも、テレビ屋さんも、広告収入がなければ潰れてしまう。その屋台骨を薬屋さんが支えている以上、大手メディアが医者を出演させる場合、忖度なしで本当のことを言ってしまう近藤誠医師のような危険人物を出すわけにはいかないだろう。

 

kondo-makoto.com

 

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医者の大罪 近藤誠 SB新書

 マスコミも商売でやっている以上、必然的に二木先生のようなマネーパワーの奴隷を出演させざるを得ない。これはマネーの構造として成り立っていることであるから、二木先生を非難してもあまり意味がない。仮に、二木先生が心をいれかえて仁術を優先するようになるなら、このシステムは冷淡に部品の交換をするだけである。代わりの奴隷はいくらでも存在する。

 

news.livedoor.com

 

3.薬屋の帝国に懐疑主義者は不要である

 医は既に仁術ではないし、薬業も当然仁術ではない。それは金儲けである。製薬業界のスターであるアルバート・ブーラさんも、はっきりと言っている。

 

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Albert Bourla and Joe Biden

www.businessinsider.jp


www.bloomberg.co.jp

 

 ブーラさんはユダヤギリシャ人で、もともとは獣医師であったようだ。そこから大出世して、今では製薬業界の大スターである。あまりにも偉大なスターなので、総理大臣が会いたいと思っても会えない。

 

「ダメだ。遅すぎる」声を荒らげた首相、ファイザーCEOに直談判|読売新聞

 

 菅義偉首相が外務官僚に怒号…? ワクチン外交「失敗」の裏側

 

 山口真由氏「日本からすりゃ良かったじゃんと…」菅首相の電話会談にチクリ

 

 ブーラさんはなかなか会ってくれなかったが、日本政府の熱心なラブコールに応えてくれ、最後は電話でお話してくれたわけである。首相がアメリカ人と会うためにアメリカに行って電話会談とは、日本人からすればガッカリかもしれないが、相手は薬屋の大スターであるから仕方ないのである。

 ただ、このように一生懸命努力して近づいてくる自民党政権に対しては、薬屋帝国も無下にはしないだろう。菅政権が安泰かどうかはわからない。忠犬はいつでも切られるリスクをかかえている。だが反逆しなければ左遷させられても、殺されることはないだろう。

 だが、逆らう政権は潰される可能性がある。タンザニアのジョン・マグフリ大統領(John Magufuli 1959-2021)は、「輸入ワクチンに細心の注意を払わなければならない」と言い、ワクチンに対して極めて懐疑的であった。その後、大統領は亡くなった。ワクチン帝国に逆らった結果、心臓発作で死亡。後任はワクチン賛成。あまりにも分かりやす過ぎて涙が出るような話である。

 

www.afpbb.com

 

japanese.joins.com

 

  新しい大統領はワクチンについて180度転換しただけではない。前大統領が決して許さなかった中央銀行の仮想通貨受け入れまで容認した。ワクチンを輸入し、薬屋の言いなりになる。なおかつ、中央銀行を国際金融資本に明け渡し、グローバル経済の奴隷に成り下がる。こうした売国政策を続ければ、政権は安定するだろう。新大統領はきっと長生きするに違いない。

 

www.jiji.com

 

www.nikkei.com